ベトナムEC市場攻略!7ステップで始める効率的なオンラインビジネス構築法

ベトナムEC市場攻略!7ステップで始める効率的なオンラインビジネス構築法

ベトナム進出をしている企業様から、以下の要望をよくお伺いします。
  • 日本・他国でB2CのEC販売をしている商品を、ベトナムでも販売開始したい。
  • ベトナムの小売店・ディストリビューターにB2Bで卸している商品の利益率をより高めるため、B2Cの販売にも注力したい。
製造・卸売を主な事業としている場合、ベトナムのEC・デジタルマーケティングで何から手を付ければよいか分からない方が多いでしょう。そこで、本記事ではベトナムのデジタル広告代理店である弊社が、実際にご支援時に取り組んでいる、EC販売を効率よく開始・最適化するため7つのステップをご紹介します!
なお、ベトナム人ビジネスマンはGoogleスプレッドシートでの作業に慣れているケースが多いため、以下で例に挙げているスクリーンショットはGoogleスプレッドシート上でのプランニングを引用しました。

1. 顧客・競合・市場調査

何より先に取り組むべきは市場調査です。
いわゆる3C分析(Customer/Company/Competitor)にあたるもので、対象商品のベトナムでの市場規模がどの程度か、その市場に対して競合他社は何をUSP(Unique Selling Proposition)・コアメッセージとして、主にどのチャネル・媒体・プラットフォームを利用してプロモーションを行っているかを見定めます。
例えば、化粧品を販売する場合は、韓国・中華コスメが、日本産米を販売する場合は「ST25」のようなローカル米が大きな競合になるでしょう。
この調査を通して、自社のECでの注力商品を特定し、顧客のどのような課題を解決するために、どのniche(ニッチ市場)にアプローチするかを決めます
以下の方法を活用して競合・市場調査を進めましょう。
  • 顧客インタビュー(N1分析)
  • 競合他社のMeta Pixel・Google広告タグの設定状況
  • Similarwebを活用した競合他社のサイトの流入状況
  • 競合他社の商品ページでの訴求軸やレビューコメントの確認
また、すでに顧客データを保有している場合は、そのデータを詳細に振り返りましょう。この最初の「顧客・市場理解」に時間をかけることが、最も大事なステップです。

2. KPIを策定

ECを通して最終的に達成したいゴール(KGI)と、その達成までの時間軸から逆算して、初月・三ヶ月・半年・一年のそれぞれ経過時点でのKPIを設定しましょう。一般的にKPIで用いられる指標は以下です。
  • CPA(Cost per Acquisition):一購入あたりにかかるコスト
  • ROAS(Return on Advertising Spend):広告の費用対効果
  • ROI(Return on Investment):(広告に限らない)投資利益率
  • CPC(Cost per Click):一クリックあたりのコスト
広告運用にあたって最も一般的なKPIは、CPAとROASです。ただし、ベトナム市場での新規ブランドの場合、まずはフルファネルでの全体最適が必要です。認知度向上やリターゲティング広告配信のためにもCPCをKPIとして、まずは自社ECモール・サイトのセッション増加が必要なケースも多いでしょう。
セールス技法:デジタル時代におけるマーケティングファネルの活用
映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で有名なシーン「このペンをオレに売れ。」は、マーケティングファネルを正しく理解し、カスタマージャーニーに上手く適用したことで、顧客ニーズを的確に捉えた例として知られています。長年広く活用されてきたマーケティングファネルにAIDAモデル(注意、関心、欲求、行動)がありますが、マーケティングの根本的な価値観として変わらないものの、製品の多様性とデジダル時代の急成長に伴い、消費者行動も複雑化し、全てのタッチポイント(顧客接点)や購買決定要因を網羅するには不十分になってきました。デジタル時代のマーケティングファネルは、例えばエンゲージメント(主にソーシャルメディアを通じた企業/商品/ブランドと顧客のコミュニケーションや深い関係性)の観点が不可欠です。また、市場には何百万ものブランドが存在し、Google検索、TikTok、Facebookなど、様々なソーシャルメディア・タッチポイントを通じて消費者に認知されるように、マーケティングファネルのあらゆる段階で、デジタルカスタマージャーニーを理解する必要があります。複雑さゆえに革新的な戦略が求められる時代となりましたが、マーケティングファネルの中で正しいデジタルジャーニーをたどれば、より正確で費用対効果の高いマネジメントが可能になります。
なお、ベトナム市場への日系コスメブランドの進出が多いですが、日本とは異なりベトナムでは「定期購買」の習慣が無いため、LTV(Life Time Value)をKPIとした運用は難易度が高く、より長期的な取り組みになると覚悟すべきです。
デジタル施策に取り組むのが初めての場合は、適切なKPIをいきなり設定することは困難なため、週次・月次でPDCAを回して、より合理的なKPIにブラッシュアップしていきます。
いずれにしても多くの場合、新規ブランドが短期間で損益分岐点を超えることは難しく、まずは半年間~1年間のロードマップ設定をオススメします。

3. メディアプランを作成

ステップ1~2のアウトプットをもとにして、どのようなオーディエンスに対して、どのような媒体で広告配信・コミュニケーションを取るかを設計します。
基本的にB2CのECの場合はMetaのみ、もしくはMeta・Googleの両広告を抑えることになりますが、一口にMeta広告と言っても配信目的・メニューの設定方法は千差万別です。マーケティングファネルをもとにして、ブランディング・パフォーマンスのそれぞれに有効な広告配信設計を行いましょう。
Shopee・LazadaなどのECモールを活用する場合は、それぞれのキャンペーン日前後のタイミングで広告配信を強化すべきなため、月別・日別の二つの粒度でのプランニングがオススメです。
また、既にセッションが多いサイトで商品点数が多いのであれば、CriteoRTB HouseAdmicroなどのダイナミックリターゲティング配信が出来る媒体も検討すべきでしょう。

4. サイト掲載情報を整理

 
ECモール(Shopee/Lazada/TikTok Shop)・自社ECサイト・LP(ランディングページ)などのプラットフォームに応じて、ステップ1~3を前提としたCVR(Conversion Rate = 購入率)を高めるための情報配置を行います。
さらにその情報配置に応じて、Meta Pixel・Google広告・Google AnalyticsのHTMLタグのイベントも設計しましょう。
加えて、Google検索ではキーワードプランナーを、ECモールではMetricを活用して、SEO対策を前提としたサイト構成およびコンテンツプランを作成します。

5. クリエイティブプランを作成

広告やサイトで必要なクリエイティブ(画像・動画)のサイズ・数量・メッセージング・レイアウトをプランニングします。
自社でクリエイティブ制作が出来ない場合は、ベトナムではデジタルクリエイターのフリーランスが多いため、LinkedIn・FacebookやAdobeのBehanseなどのコミュニティーを活用すると、自社テイストに合ったポートフォリオを持つフリーランスデザイナーに、比較的安価に制作を依頼が出来ます。

6. プロモーションプランを作成

ECモール(Shopee・Lazada・TikTok Shop)を活用する場合、ゾロ目の日(例:3月3日)や給料日(毎月25日)など、毎月大きなキャンペーンが開催されます。基本的に通常日ではなくキャンペーン日に売上が大きく伸びるため、キャンペーン前後のタイミングに合わせてディスカウント・コンボなどのプロモーション設定をすることが効果的です。
ベトナム人ユーザーは「ECモールではディスカウントされていて当たり前」という心理なので、利益を確保できる範囲で、戦略的なプロモーションを設定しましょう。

7. コンテンツカレンダーを作成

最後に、中長期でとても大事になるのが、ソーシャルメディアの運用です。ベトナムはFacebookのアクティブ使用率がとても高いため、商材にもよりますが、B2Cであれば基本的には週2~3回のペースでのFacebookページ投稿を行えると良いでしょう。単なる商品紹介だけではなく、流行を踏まえた投稿・お役立ち情報の投稿・日本での実績やCSR活動も投稿できると良いです。
ベトナム人はFacebookを使い慣れているため、Facebookページはエンゲージされやすいです。ユーザーに対して何かしらのインセンティブ(例:ギフト)を与えてシェア・コメント・いいね!を促す「ミニゲーム」と呼ばれるインタラクティブなコンテンツを用意すると効果的です。
ロートベトナムのミニゲーム例
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Công Ty Dược Phẩm MIDのミニゲーム例
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さいごに

弊社は実際に上記の手順でプランニングを行った上で、ECモール運営・広告運用・ソーシャルメディア運用を一貫して行っております。より詳細なプランニングの進め方については、ぜひ以下フォームからお問い合わせください!