【2023年版】Shopee・Lazada・TikTok Shop・Tikiの違いを徹底解説&選び方のポイント
東南アジアにおけるECの概要
東南アジアのECはCOVID-19以降、新たな段階に入りました。東南アジア諸国は2010年代にECを学び、適応し始めて、2016年から2021年にかけてECの売上総額は5倍、つまり年40%のペースで増加しました。また、小売りの全売上高に占めるECの割合は、5%から20%に急増しました。
マッキンゼーによると、東南アジア市場は今後5年間で年率15%~25%の2桁成長を維持し、2023~2026年の間で東南アジア市場は22%の複合成長率で3倍に拡大し、GMVは約2,300億ドルに達すると予測されています。
ベトナムEC市場 - デジタルチャネルの多様化
経済成長・デジタル成長の両面で成長を牽引しているベトナムは、EC市場で2022年にすでに140億米ドルを達成し、2025年には320億米ドルに達すると予想されています。ベトナムは、2021年から2025年にかけてすべてのECカテゴリーで30%以上の成長が見込まれる東南アジア唯一の国です。政府の戦略では、国民のEC利用率を55%まで引き上げ、2025年までに1人当たりのEC支出を年間600ドル程度まで押し上げることを目指しています。
Amazonが40%のシェアを占めるアメリカのような先進国とは異なり、ベトナムではデジタルチャネルの多様化が進んでいます。Shopee・Lazada・Tikiのような比較的長く使われているECストアと、TikTok Shopのようなソーシャルコマースの2種類に分けられます。
ユーザーはより多くのデジタルチャネルで買い物をするようになっています。中国から学べば、より多くの企業が独自のB2Cオンラインストアを確立するとともに、トップ5のECモール(Shopee・Lazada・TikTok Shop・Tiki・Sendo)を通じてベトナムのユーザーへ販売をするようになります。Metricの2022年のEC業界レポートによると、Shopeeは現在ベトナムで最も人気のあるECモールで、他の4つのECモールの総売上高の約73%(約91兆円相当)を占めています。
このシェアで注目すべきはTikTok Shopです。2022年4月末にローンチされたばかりですが、TikTok ShopはTiki・Lazadaを抜き、シェア20%となっています。Sendoは毎月売上規模が減少しており、他の巨大プラットフォームから大きく遅れを取っている状態です。
セラーにとっては、すべてのマーケットプレイスに商品を掲載することで、デジタルチャネルでのプレゼンスを最大化することができます。ただし、チャネルの分散化は、適切なチャネルにリソースを集中できないため、リスクともなります。No.1のECモールを選んだとしても、そこにターゲットユーザーがいなければ意味がありません。拡大するために適したECモールを慎重に検討する必要があります。
Shopee - マーケットリーダー
Metricsによると、2022年のShopeeのトップ3カテゴリーは、ビューティー・レディースファッション・家庭用品&家具で、価格帯は以下の通りです。
価格帯 | 割合 | カテゴリー |
---|---|---|
20万VND以上 | 8.9% | 主にビューティー・レディースファッション・ベビー用品 |
10-20万VND | 14% | レディースファッションの42%がこの価格帯 |
5-10万VND | 18% | 主にファッション・ビューティー |
1-5万VND | 38.5% | 主にビューティー・ファッションで、Shopeeの中で最も販売数が多い |
1万VND以下 | 20.6% | スマホアクセサリー・ファッションアクセサリー |
アパレルブランドから家電メーカーに至るまで、多くの企業が低価格を武器にして、Shopeeで自社商品を女性ユーザーに販売しています。ただし、Shopee MallがShopeeの総売上の59.22%を占めていることからも分かるように、Shopeeが安価でノンブランド商品だけに適しているわけではありません。Shopeeの一番の売れ筋は10万VND以下の商品かもしれないが、上位を占めるのは有名ブランドの商品で、Shopee Mallでのみ購入できる30万VNDを超える価格帯の商品です。
専門店でない小売業者は取り残され、徐々に市場から撤退していくのは目に見えています。Shopeeを通して市場参入する場合、30万VND以下の安価か、Shopeeモールになるかの2択になります。Shopee Mallの基準は非常に厳しく、Shopee Mallになることは、Shopeeのブランドとセラー自身のブランドを守るために、すべての基準をクリアしてルールに従うことを意味します。
そのため、ECを拡大するためにShopee参入する上で以下を留意してください。
- 商品価格が30万VND以下であるか、Shopee Mallに登録すること
- カテゴリーがビューティー・ファッション・FMCGであること
Lazada - 追跡者
Shopeeとは異なり、Lazadaで売上が高い上位3カテゴリーは、ホーム&ライフスタイル・ヘルス&ビューティー・家電です。Lazadaセラーセンターによると、SKU総数が多い2カテゴリー「ホーム&ライフスタイル」「ヘルス&ビューティー」は、1カテゴリーあたり3万5千SKUを超え、3位の「雑貨&ペット用品」の2倍になっています。
Shopeeがビューティーカテゴリーで市場全体の70%以上の売上を占め、大きな影響力を持っているのに対し、ホーム&ライフスタイルとベビー用品ではLazadaが競争力を示しています。この2つのカテゴリーにおける商品の平均価格は、Shopee Mallの42.9万 VNDに対し、LazMallは57.9万 VNDとLazMallの方が高いです。Lazadaはトラフィックと収益でShopeeから遅れを取っていますが、Lazadaは家電・ベビー用品のような家族向け商品を扱うニッチな分野では良い選択肢です。
一般的に、Lazadaは25~35歳の女性が自分用や家族用の商品を探すのに適しています。Lock&Lock、Abbott、Estee Lauderのような多くの大手ファミリーブランドが、LazadaにECストアを構えています。
TikTok Shop - 挑戦者
TikTok Shopは2022年4月のローンチ後、すでにTiki・Lazadaを抜き、2023年のGMVベースで2位となっています。TikTokは昨年Facebookがうまくいかなかったソーシャルコマース領域で、独自システムを活用することで拡大しました。
価格帯については、TikTokで安い商品を売る人が多いというイメージに反して、2022年のデータによると、TikTokで最も売れている商品は10~20万VNDと20~50万VNDで、LazadaやShopeeよりも高いです。
TikTok Shopには、従来のECモール2つの利点があります。第一に、KOL(Key Opinion Leader)として広く知られるインフルエンサーが、フォロワーのネットワークを通じて新しいファッションブランドや美容製品を早く効果的に宣伝することができる点です。第二に、ユーザーがソーシャルコマースで購入の意思決定をする場合、価格の重要度は下がり、そのKOLをどれだけ好きで信用できるかが大事になる点です。
ソーシャルメディアとインフルエンサーマーケティングに重点を置くTikTok Shopは、食品・美容・テクノロジーに関するお気に入りのクリエイターのレコメンデーションを通じて新しい商品やブランドを発見したい、Z世代やミレニアル世代の顧客にアピールすることを目指しています。画像・音声・ユーザーの興味に焦点を当てたTikTokの機械学習を活用することで、TikTokはユーザーの好みに応じて適切な広告を表示できます。一方で、TikTok Shopに注力するということは、トレンドを重視し、KOLや動画のクリエイティブに投資してパフォーマンスを最大化しなければ、取り残されてしまうことを意味します。
Tiki - 衰退
Tikiはベトナムで最初のECモールの1つですが、Shopee・Lazada・TikTok Shopのような海外市場からのフィードバックもないため、年々市場規模を減少させています。
Metricが発表した2023年第1四半期のECレポートによると、Tikiは8,465億 VNDの売上のみで、Shopeeの24兆7,000億 VND、Lazadaの7兆5,000億 VND、TikTok Shopの6兆 VNDに遠く及びません。
用語
- Làm đẹp:ビューティー
- Thời Trang Nữ: レディースファッション
- Nhà Cửa - Đời Sống: 電子機器
- Điện Thoại & Máy Tính bảng:スマホ・タブレット
- Mẹ & Bé: ママ&赤ちゃん
- Ô Tô - Xe Máy: 車・バイク
- Điện Gia Dụng: 家電
2022年の報告書によると、TikiはLazadaやShopeeに比べると成長が鈍化していますが、上位2カテゴリーのスマホ&タブレットと家電ではまだ成長を見せています。それに加え、書籍は依然としてTikiで最も急成長しているカテゴリーの一つで、ユーザーはTikiを書籍購入のために最適なチャネルとして認識しています。
つまり、商品が3つのカテゴリー(スマホ&タブレット・家電・書籍)のいずれかで、高価格帯の場合に、Tikiは適切なチャネルであると考えられます。そうでない場合は、Lazada・Shopee・TikTok Shopeを活用する方がおすすめです。
さいごに
10年前、ベトナムのEC業界で今ほど多くの名前を耳にすることはありませんでした。5年前、Tikiはまだ最高のECチャンネルの1つで、脅威にさらされることをあまり考える必要はありませんでした。5年前には、Sendo・adayroi.com・vatgia.comなどのプラットフォームの人気がありましたが、現在その名前はほとんど聞きません。5年後には新しいECモールが市場に登場するかもしれません。
潜在顧客を踏まえて適切なECモールを選ぶことは簡単ではありません。ECモールのデータや競合の分析に加え、どのECモールがユーザーにとって便利かを理解し、分析する必要があります。もしかしたら、今年はShopeeが人気ですが、来年は新しいものを宣伝しているKOLが多いTikTok Shopを、あるいは音楽番組があるLazadaがより人気になるかもしれません。そのため、このデジタル時代にリスクを減らすには、チャネルを多様化することが必要です。最高のチャネルに集中するだけでなく、新しいチャネルに進出することも重要です。例えば、化粧品業界であれば、Shopeeが注力すべき主要チャネルかもしれません。それでも、TikTok Shopを開設し、KOLを活用して新製品を宣伝することをおすすめめします。このようなショップでのエンターテイメント体験は、売上拡大だけでなく、ブランド認知向上にも役立ちます。
結論として、多角化と顧客体験向上は、ベトナムと東南アジアのECにおけるパフォーマンス最大化のために注力すべき点です。ユーザーにとっての良い経験(レビュー・配送・レスポンス率)をコントロールできないとすれば多角化する必要はありません。